単価数百円のシリーズで右往左往しているユーザーにぶつけるには、さすがに行き過ぎた企画だったと思います。
この手の低価格帯シリーズを集めてる人は、キャパの許す限り他のシリーズにも手を染めているでしょうから、守備範囲とはいえイレギュラーな高額商品にまで傾注出来ないのが実情ではないでしょうか?
また、この商品だけでマスコレ通常製品が80個以上買えてしまうのだから、突発的な新弾と捉えるのも難しい筈です(このシリーズは一つの弾でコンプを狙っても、普通そんなに買う事はない)。
受注生産であった事を加味すると、メーカー担当者は余程マーケティングリサーチ能力がないのか、或いはこの商品自体「本気で売るつもりのない『踏み絵』的企画」だったと考えざるを得ません。
しかしまぁ、そんな事言ってる私自身が見事にこれを“踏んじゃって”ますので、買わずに後々後悔させられるよりはマシ・・・と言ってしまえばそれまで。
ケース自体には過去記事で懸念していた不安要素もなく、熱曲げR加工された上辺や、しっかり磨かれた小口はむしろ立派なアクリル加工品…実にいい仕事と評価できます。
マスコレ如きには余計勿体ないと思えてしまうのが何とも・・・(笑)。
脇にガシャポンフィギュアでも並べておけってこと?…と感じてしまうほど、台座の間隔が開きすぎてるのが唯一気になりますが、ここの間隔は現状の半分くらいでよかったかも。
(そうすればケース全体を10cmは短くできたのに)
もしかしたら、この間隔設定はマスクの側面がなるべく見える様に…との配慮かも知れませんけど、それならば台座が回る様にしてくれた方が有り難かった・・・っていうか、そもそもケース収納によって享受される保全性は、反面鑑賞の自由度を制限したり簡単には触れなくなるというストレスをもたらす諸刃の剣なのです。
手に取って様々な角度から見る“視覚+触覚”情報は、観賞用ケースに入れるだけで触覚情報が奪われ、本品の様にそのケースが簡単に動かせないとなると視覚情報も限定されたものになる・・・当たり前の事ですが、(余程脆いものならともかく)これって立体物の楽しみ方を能動的に狭くする行為なんですよね。
考え方によっては、複眼の一斉発光と引き換えにしても割が合わないかも・・・。
工業製品的な他のライダーと違って、有機的に面構成され、デザインラインやモールドとは無関係な塗り分けが必要なシンは、過去に立体化された製品中で決定版と呼べるものがありませんでした。
今回は(頭だけではありますが)概ねそれをクリアしたと言って差し支えないでしょう。
いや、むしろキモカッコイイとでも言うのでしょうか、今風には。
但し、先日リリースされたHDMと同じで触角が黒単色なのが惜しまれる箇所…マスクの塗装に専念しすぎて気が回らなかったって印象も受けます。
更にこの触角は、もうほんの僅かだけ細くして欲しかった・・・かな。
それが型抜きの都合など技術的な理由によるものであったとしても、実物(プロップ)素材の差異を玩具用素材で表現した形になっているのが面白い処。
外殻の継ぎ目で分割されたパーツは、貼りしろに被せる様に接着されている為、分割線も目立ちません。
PVCでも裏側にモールドが入れられるらしく(というより、インジェクションと同じ要領の成形だからでしょうが)、気泡の様な独特の複眼内パターンも再現されています。
発光台座の付属品ですから当然といえば当然の仕様ですが、これも実はシンの立体物として初めての事だったりします。
(因みに、ZOやJでは『京本コレクション』で既に実現済み)
いや…意図的に酷い比較対象を持ち出したワケではなく、当時はこれしか選択肢がなかったんですよ…ホント。
(それでも『列伝』シリーズは原作者監修&リアルプロポーションってコピーまで入った立派(?)なコレクターアイテムだったんです)
ディスプレイケースの製品発表の頃、当サイトのチャットで『列伝』を複製ベースにしてマスクを自作しようか…なんて話題もありましたっけ(皆、3万の出費には抵抗あったんですよ…『列伝』なら今でも安く手に入るし)。
私も(『列伝』に対する)記憶が曖昧なまま「イケるかもねぇ」なんて無責任なこと言ってましたが、改めて見ると“何の冗談なの?”としか思えませんね・・・コレ。
当時の自分がこのシリーズに何故手を出さなかったのか…もっとよく考えるべきでした。
(ってことは、当時から“こりゃダメだ”って認識してたワケだ…それとも、マスコレ版を見て目が肥えちゃったか?)
ま、今となっては『列伝』など使わなくても、マスコレの方を複製ベースにした方が改造も楽って事です・・・出来が良いのであまり改造の必然性を感じませんが。